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世田谷線メロウ

全国の織物、染物が集まる「世田谷ボロ市」

キンと空気が澄み渡る冬の朝、「ドンドン」という花火を合図に430年以上続く世田谷・ボロ市は始まります。ボロを売っていたことが名前の由来ですが、その名残りといえるのが、着物や帯、和布の端切れを扱うお店が多いところ。中には袋に詰め放題で1000円!なんていう破格値のお店もありますが、全国各地の織物や染物が一堂に会するボロ市は、毎年掘り出し物を探す人が朝早くからやって、丹念に品定めを行っています。

その一方で、普段は着物に縁がない人も思わず足を止めてしまうほどの華やかさも兼ね備えています。友禅、紬、ちりめん......聞いたことはあるけど、実際はどんなものか分からない。そんな人でも、好きな色、柄、質感で選ぶだけでも楽しいはず。気にいったものを見つけたら、今度は値段交渉です。しかもお客さんが多いボロ市では、1対1でじっくり交渉するなんてわけにはいきません。この駆け引きとスリリングさが、デパートではない市場での買い物の醍醐味でもあります。

 

全国の織物、染物が集まる「世田谷ボロ市」

ボロ市の特長のひとつが、バラエティ豊かなお店の数々。約700店が沿道を埋め尽くし、とても1日では見切ることはできないほどです。骨董品か、ガラクタか......。見る人によって価値は変わりますが、使い方も分らないような道具や、買ったところで何に使うんだろうと思ってしまう雑貨を眺めていると、それだけでも好奇心が掻き立てられます。

『西の東寺、東のボロ市』と言われるくらい、ボロ市と言えば大工道具のお店が出店することでも有名です。今ではお店も減ってしまいましたが、新品にはない使い込まれた滑らかな使い心地を求めて、毎年お客さんはやってきます。

ボロ市では、普段の生活ではあまり見ることのないものに、たくさん出会えます。ここでしか買えないもの。そんなところも、買うものが決まっていないのに、つい足を運んでしまうのです。

 

全国の織物、染物が集まる「世田谷ボロ市」

 

ボロ市の歴史は、1578年(天正6年)に当時関東地方を支配していた小田原城主北条氏政が、世田谷城の城下町に楽市を開いたことから始まります。

時代が流れれば、形態も売られる品も変わるのは当然のことで、実用的であった農機具や大工道具に変わり、趣向性の高い骨董品や食べ物屋が増えてきました。

前年度に3軒あった神棚を売るお店が、 2軒に減るなど、伝統工芸品の数も減ってきているのが現状です。2軒のうちのひとつ「宮重」は60年もボロ市に出店を続け、現在は2代目、3代目の宮師・関根さん親子が店先に立ちます。「初代が来ていたころは、埼玉からリアカーに積んで売りに来て、全部売り切って帰っていってそうです」。住宅事情の関係で買う人は減ってきましたが、それでもボロ市通りに空高く積み上げられた神棚は、いつまでも残っていてほしいボロ市の景色のひとつです。

売られるものも光景も変わりましたが、430年以上も続くボロ市には、今でも多くの人が訪れ活気が満ち溢れています。新旧のものが入り混じり、老若男女が行き交い、売りたい人と買いたい人で値段が折り合えば交渉成立。そんな市本来の役目と、ものを探す楽しさは今も昔も変わらぬボロ市の伝統なのです。

 
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